Voice専門・認定看護師紹介

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精神看護専門看護師

PROFILE田中 直さん

専門・認定(分野)を目指した理由

大学病院における急性期医療において、精神症状により現実検討能力や思考力、判断力が低下し、患者さんの意思決定を尊重することが難しい場面に遭遇することが多くありました。こうした患者さんの人権をどのように守るのか、また患者さんの意思決定を尊重しながら処遇をどのようにするのかなど、患者さんの人権擁護に必要な精神看護領域における技術を発展させたいと考えたことが理由です。

主な活動内容

リエゾンとは、橋渡しや連携、つなぐといった意味を持ち、主に身体疾患を持つ患者さん、ご家族とケア提供する看護師の双方への心のケアをする役割を担っています。患者さんへの直接ケア、リエゾン対象部署でのコンサルテーション、リエゾンチーム協働によるコーディネーション、複雑かつ困難な問題を抱える患者さんの倫理調整、精神疾患への対応やアセスメント、せん妄ケア等の教育支援や研究活動を行っています。

今後の目標

リエゾン介入しているせん妄患者さんの行動制限に対する判断基準を構築し、行動制限に関する解除を検討するカンファレンスが定着できるように取り組みを開始しています。カンファレンスでは、人権擁護の視点からケア提供する看護師のみでは認識することができなった事象を客観的に捉える機会とし、患者さんの行動制限(身体拘束を含む)を最低限に保障していくことを目標としています。

専門・認定看護師を目指している人へのアドバイス

問題が複雑かつ困難な場面では、患者さんと看護師との関係形成が難しくなることもあるため、患者さんとのラポール形成を大切にしています。患者さんの表情や声の抑揚を確認しながら「語り」をもとにして、感情表出と存在価値の承認に重点を置き「生きづらさ」に寄り添う看護ケアを積み重ねと同時に、事例毎に他者の視点を取り入れながら、常に多様な視点で捉える感覚を意識していくことを大切にしています。

看護師のメンタルヘルス

ケア提供する看護師自身のセルフケアの重要性について周知すると共に、各附属病院のCNSと協働し、ストレスの気付きから1次・2次予防の重要性についての認識を高められるようにサポートしています。また長期化するコロナ禍における看護師の心理的葛藤や心のエネルギーの推移についてもセルフモニタリングできるように学内オンラインを活用したメンタルサポート体制を構築しています。