老人看護専門看護師
PROFILE岩永 悠季さん
専門・認定(分野)を目指した理由
近年、医療技術の進歩により高齢者への治療選択肢は大きく広がりましたが、その一方で倫理的な課題も複雑さを増しています。私は、こうした医療現場の中で「看護とは何か」という問いに向き合い、人間性を大切にしたケアの実現を目指して、老人看護専門看護師の道を志しました。
大学院では、「歳を重ねること」の意味や老年看護の理論を深く学び、臨床での経験を理論と照らし合わせながら、看護の意義を再確認する貴重な機会を得ました。この過程で、多様な視点や志を同じくする仲間との出会いが、私の看護観を豊かにしてくれました。
主な活動内容
現在は急性期病院において、複数の疾患を抱える高齢者や認知症のある方々のケアに携わっています。意思決定支援や苦痛緩和といった複雑な場面において、看護師や多職種と連携しながら、その人にとって最善のケアとは何かを問い続けています。教育にも関わり、研修や研究活動も積極的に行っています。
今後の目標
現場で直面する倫理的ジレンマや看護の困難に対し、臨床と理論の橋渡し役として、実践の質を高め続けたいと考えています。高齢者がその人らしく最期まであり続けられる社会の実現に向け、実践・教育・研究の各側面から貢献してまいります。
専門・認定看護師を目指している人へのアドバイス
専門看護師を目指す過程は、自らの看護を深く見つめ直す旅であると感じます。知識や技術の向上だけでなく、現場での疑問や葛藤に真摯に向き合うことで、看護の核心に触れることができるのではないでしょうか。「なぜ」と自問する姿勢が、専門性を育む礎となります。ぜひ、その問いを大切にしてください。
「看護を問い続ける力を、高齢者の輝きのために」
大学院での学び、そして現場での実践を重ねる中で、私は「看護とは、人の生き方そのものに寄り添うこと」であると確信するようになりました。高齢者の方々が歩まれてきた人生には、長い年月を重ねてきたからこそ生まれる深みと重厚さ、そして唯一無二の輝きが宿っています。その輝きが、これから先もなお色褪せることなく、むしろいっそう増していくように私は、一人ひとりの人生に真摯に耳を傾け、「今」と「これから」に寄り添う看護を大切にしています。
これからも、仲間とともにケアの本質を問い続け、「人間らしさ」と「尊厳」が守られる看護のあり方を追求してまいります。そして、誰もが安心して年を重ねていける社会の実現に向けて、看護の力を信じ、磨き続けていきたいと考えています。